非アルコール性の脂肪肝は腸内細菌が原因だった

海野竜也 工学博士


肝臓に脂肪が付きすぎるとがいわゆる「脂肪肝」になります。お酒の飲みすぎで肝臓が疲労しきっていると肝臓に脂肪がつき始めます。実は最近になって食べすぎによる非アルコール性の脂肪肝の報告が増えつつあります。お酒よりも脂肪肝の原因となっているのです。肝臓についた脂肪は肝臓の機能悪化をうながし肝硬変や肝臓がんなどの病気に進展しますので軽く見てはいけない病気です

。食べすぎによる脂肪肝の原因は果糖が肝臓細胞でアセチルCoAに分解されこのアセチルCoAが脂肪の合成を促すためです。そのため、最近では食後、特に夕食後の寝る前に果物を食べることが内臓脂肪の原因とされています。また果糖とは果物由来の糖分ですが果物だけではなく清涼飲料水やお菓子などにも含まれています。甘くても小腸で吸収されなく血糖値を上げないため体に良いと思われていましたが果糖を取りすぎると中性脂肪の蓄積、コレステロールの合成を促すことなどが分かっています。
果糖の取りすぎが脂肪肝の原因というのはあくまで結果論でして、実際に果糖が中性脂肪に変えられる過程はわかっていません。肝細胞には柑橘系の植物に多く含まれるクエン酸をアセチルCoAにかえるACLYという酵素があります。このACLYは果糖を分解しアセチルCoAを作り出すので、脂肪肝の治療としてACLYを阻害することが医療界では注目されています。

しかし、このACLY阻害による脂肪肝の治療は効果がないことが2020年3月18日科学誌Natureに掲載されました。この研究報告によりますと果糖による脂肪肝の原因にはACLYよりも腸内細菌が関わっていることが示唆されています。今回はこの研究について紹介したいと思います。アメリカのペンシルバニア大学での研究です。
まず、マウス実験です。放射性同位元素を用いて果糖とブドウ糖がマウスの体内でどのように使われるのか分析したところ肝臓の脂肪はほぼ果糖由来であることがわかりました。次にマウスの遺伝子を変異させて肝細胞でACLY酵素を作れないようさせ、同じように果糖とブドウ糖を与えました。期待とは裏腹に肝臓でACLY酵素が作れないのにもかかわらずアセチルCoAの量は減らず脂肪肝が改善しないということが分かりました。どうやらACLY酵素が直接的な脂肪肝の原因ではなさそうです。

ではACLYとは関係なしにどのように肝臓で脂肪が作られるのでしょうか。果糖を摂取すると脂肪合成に関する多様な遺伝子が発現します。詳細な方法論は割愛いたしますが、研究チームは果糖摂取時に発言した遺伝子の一つに酢酸をアセチルCoAにかえるacss2という遺伝子を確認しました。どうやら酢酸が脂肪肝の原因として一役買っているようなのですが、この酢酸はどこから来たのでしょうか。この腸内細菌シリーズを読んでいただいているかたはすぐに腸内で作られる短鎖脂肪酸だとお気づきでしょう。ちなみにマウスの肝細胞を培養して果糖由来の代謝物を与えても酢酸は作られませんでした。
放射性同位元素を用いたマウス実験では摂取された果糖は30分で肝臓に到着し60~90分経つと腸内細菌が作り出す酢酸が血液を通して肝臓に到着し、2~3時間後に肝臓脂肪の合成が始まることが示唆されました。この仮説を証明するために抗生剤をマウスにあたえて腸内細菌の働きを弱めます。果糖を摂取すると普通60-90分で血中の酢酸の量が2倍になるのですが抗生剤を与えた場合、血中の酢酸の量が減り肝臓の中性脂肪も減ることがわかりました。

つまり果糖を取りすぎると小腸で吸収されきれずに大腸に到達し、大腸内で腸内細菌に酢酸にかえられ血流を通して肝臓に運ばれacss2遺伝子によりアセチルCoAにかえられ、結果として脂肪肝になるということが裏付けられました。つまり二つのメカニズムで脂肪肝が作られわけです。一つは果糖の摂取により肝臓細胞の脂肪を作るための遺伝子が発現されること、もう一つは腸内細菌が肝臓で脂肪を作るための材料(酢酸)を血流を通して供給することです。
元来の脂肪肝の治療は肝細胞で作られるACLY酵素を阻害することでアセチルCoAの減少を狙ったものだったのですが、どうやら犯人は私たちの細胞内のACLYではなく腸内細菌達だったようです。果糖を取りすぎると小腸で吸収されきれないで大腸にまで行ってしまうのが問題だったようですね。もちろん腸内細菌が作る酢酸だけが脂肪肝の原因ではありませんので誤解のないようにお願いします。果糖を摂取することで肝臓が脂肪を作るための遺伝子を発現することが前提条件となっています。

ただし肝臓が脂肪を作ろうとしても「酢酸が供給されなければできない」という話です。以前、腸内細菌は私たちの性格や行動にも影響を与えるということを紹介しました。それは腸内細菌が作る神経伝達物質(ホルモン)にもよりますが、腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸が腸細胞に吸収されて血流を通して脳に影響を与えるということもわかっています。

腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸は95%が酢酸、酪酸、プロピオン酸なのですがこれらの割合は腸内細菌叢のバランスによります。果糖やブドウ糖の過剰摂取は腸内細菌叢のバランスを崩し腸炎の原因となることも報告されています。糖は本来なら小腸で全て吸収されるべきなのですが過剰摂取のため腸内細菌の餌となってしまうのです。糖の過剰摂取には気を付けましょう。

それと今回の研究は抗生剤が脂肪肝の予防に効くということではないので誤解のないようにお願いします。抗生剤を長期服用するとビフィズス菌を筆頭に腸内細菌の働きが弱まり消化やお通じの問題だけではなく脳腸相関によるメンタルへの影響もありますので。

 

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