腸内細菌6つのハイライト

 海野竜也 工学博士

2005年くらいからDNA解析の技術が進歩し、腸内細菌の研究が流行となりました。最初は太っている人と痩せている人は腸内細菌の種類が違うくらいの事でしたが、約15年が経ち毎日たくさんの研究報告がされるようになりました。今回はネイチャーというトップクラスの科学誌で取り上げられた6つのハイライトについて紹介していこうと思います。
1番目は「腸内細菌が精神の安定に関係している」です。脳腸相関のところでも話しましたが腸内細菌が私たちのメンタルと大きく関わっているという事が分かりました。

日本語の言い回しでも「腹を決める」とか「腹が据わる」とかメンタルとお腹を関係付ける言い回しがありますが腸内細菌の研究でもそれが確認されたわけです。ベルギーの研究結果によるとFaecalibacteriumとCoprococcusという酪酸産生菌の量と生活の質の高さに相関関係があり鬱病の人は腸内細菌の種類が全体的に少なかったという報告がされています。この腸内細菌叢の違いにより腸で生産される神経伝達物質、特にドーパミンの量に違いがあったと報告されています。
二番目は「腸内細菌の移植で病気の治療が可能になった」です。

糞便移植のところでも紹介しましたが糞便移植は主にディフィシル菌が原因となる慢性腸炎の治療にのみ効果的でした。今回ハイライトされた研究はディフィシル菌ではなく潰瘍性大腸炎です。2017年に糞便移植による潰瘍性大腸炎治療の成功確率はたったの27%でした。その後オーストラリアの研究によると糞便移植後にEubacterium hallii とRoseburia inulinivoransという2種類のバクテリアが増える事が治療成功へのキーである事が分かりました。もちろん短鎖脂肪酸を発生する細菌です。また、ドーナーのタイプにより潰瘍性大腸炎治療の成功率が左右される事も分かりました。ドーナーの糞便にBacteroidesやStreptococcusが多い事が成功と関連していると報告しています。

これらの発見により病気のタイプにより糞便を使い分ける事でこれまで治療が難しかった病気の治療が可能になるかもという事が示唆されました。
3番目は「腸内細菌で健康な代謝を手に入れる」です。以前に紹介しましたアッカーマンシアという腸内細菌なのですが痩せた人に多く、肥満の人に少ないという事がわかっていまして、毎日アッカーマンシアを服用する事でメタボの改善に役にたつかもしれないという事が分かりました。

ベルギーの研究で糖尿病または糖尿病予備軍の人たちに3ヶ月間与えたところインスリンの感度が上がったり血中コレステロールが下がったりと改善効果が現れました。不思議なことに殺菌したアッカーマンシアを与えた時の方がこれらの効果が大きかったそうです。多分、アッカーマンシアの中身に入っている代謝物や細胞壁自体が薬の役割を果たすのではないだろうかと予想されます。研究自体が短い期間であったため実際に痩せたという人はいませんでしたが今後長期間かつ大規模な研究が期待されます。
4番目は「腸内細菌が様々な病気に関連する」です。そもそも健常者とメタボ患者(糖尿病、高血圧、肥満、心臓病)での腸内細菌叢の違いは既に報告されていましたが病気が腸内細菌を変えたのか腸内細菌が病状を作り出したのか、はっきりしていませんでした。鶏と卵の関係と一緒です。オーストラリアとイギリスの共同研究の結果によると腸内細菌の方が病気の原因であると推測できる理論を発表しました。

具体的には糖尿病患者の遺伝子と腸内細菌叢の遺伝子の相関を調べた場合、腸内細菌叢、特に酪酸産生菌の量が変わることでインスリンに対する感受性が改善する事がわかったのですが逆にインスリンの感受性に関連した人間の遺伝子が変化しても酪酸産生菌の量には影響がなかったという事です。これらのことにより、腸内細菌が糖尿病の原因を作っていることと個人の腸内細菌に合わせた治療法(治療薬)が不可欠である事が分かりました。
5番目は「生まれ方による腸内細菌叢の違い」です。

これも以前「生まれてから1週間の腸内細菌の重要性」で取り上げましたが帝王切開で生まれた子供と自然分娩で生まれた子供の腸内細菌叢の違いは生まれてから1週間の間が一番大きく、徐々にその差が縮まっていく事がわかっています。帝王切開で生まれた子供は腸内細菌が少ないため、すぐに病院の空気中にいる細菌が腸内に入り込んできます。この空気中の細菌は母乳を飲む事で少しずつビフィズス菌に入れ替わっていき3週間後には自然分娩の子供と似通ったものになります。

しかし、帝王切開で生まれた子供は後々アレルギーを発生するケースが多かったらしいです。また、この傾向は自然分娩で生まれた子供でも生まれてすぐに抗生剤が投与されると帝王切開で生まれた子供と似たような腸内細菌叢になることも分かりました。生まれてから3歳までが腸内細菌叢の形成期間ではありますが生まれてから1週間、いや、生まれてすぐに母親の腸内細菌を受け取る事がどれだけ重要なことかが証明された研究でした。
最後です。6番目は「腸内細菌改善なしでの減量」です。フランスで行われた研究です。

かなりひどい肥満の場合は食事療法ではなく手術により胃の一部を小腸に繋げることで胃を物理的に小さくする場合があります。減量のための医療法としては唯一確立された方法なのですが、この場合腸内細菌はどうなるのでしょうか?極度の肥満の人は大抵腸内細菌叢がめちゃくちゃです。多様性もなく、短鎖脂肪酸を作る菌の数も少ないです。このような人たちが物理的に胃を小さくする手術をすると腸内細菌の多様性が少し上がりますが肥満でない人に比べるとまだまだ低いです。

術後一年で相当の体重が落ちるのですが、それでも腸内細菌の多様性は健康な人に比べて低かったそうです。結局のところ胃を小さくしても代謝にはさほど影響がない事が分かりました。つまり、物理的に胃を小さくしてもまた胃が大きくなって太り始める可能性があるというわけです。日本ではあまり見られませんが西洋、特にアメリカではこのダイエット手術を受ける人が多いです。

でも腸内細菌叢の改善が見られないため、結局は食生活を変えながら腸内細菌叢を調節する事が長期的かつ持続可能なダイエットとなるのではないでしょうか。
今まで取り上げてきた論文がいくつか含まれていましたが、こうしてハイライトを見てみると腸内細菌を利用した研究が進むにつれて私たちの生活を精神的にも肉体的にも豊かにしてくれる方法が近いうちに明らかになるのではないだろうかと期待してやみません。

 

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