高齢者の腸内細菌叢とコロナウィルス

海野竜也 工学博士

コロナウィルスに感染すると肺炎を起こしますが軽症で済む人と重症化して死に至る人と症状に違いがあります。2020年の4月にmedRxivと言うオンライン雑誌で掲載された研究によると腸内細菌叢からコロナウィルス感染で重症する人を判別可能であることが示唆されました。コロナウィルスは肺や腸の細胞膜にあるACE2という酵素の受容体から私たちの細胞何に入り込みます。

ACE2は血圧を抑える効果があり高血圧の薬の中にはこのACE2の受容体を増やす薬があり(仮説ではありますが)高血圧の薬の服用によりコロナウィルスの症状が重くなるということが報告されています。ACE2は血圧の調節だけでなくアミノ酸の代謝やホルモンの生成、または腸内細菌叢の形成にも関わっています。

また、コロナウィルスに感染した約60%以上の患者は肺炎だけでなく腸の疾患(下痢、目眩、吐き気など)を伴うということもあり、腸内細菌叢とコロナウィルス重症化の過程が何らかの関係があるということは否めません。2020年3月に血液中にある20種類のタンパク質がコロナウィルスで重症化するかどうかを予測する指標となることが報告されています。

今回紹介する研究ではこの20種類のタンパク質の情報を元に「感染していない人でも感染したら重症化するのだろうか」予測する方法について調べています。武漢から約1000キロメートル離れた広州という所に住んでいる31人のコロナウィルスの患者(18人は軽症、13人は重症)と2413人の健常者のデータを元に分析しています。

まずはじめに軽度から重度のコロナウィルス患者の血中タンパク質の情報をもとにリスクスコア(危険度)なるものを作成します。簡単にいうと血中タンパク質の情報から症状の度合いを逆算しようというわけです。次に990人の健常者のデータから、このリスクスコアと血液中のサイトカインの相関を調べます。サイトカインとは免疫細胞から分泌される物質の総称でして炎症の指標として用いられています。

すなわちコロナウィルスに感染して重症化する確率と炎症との相関性を調べています。次に血中タンパク質中でサイトカインと相関が見られたタンパク質と腸内細菌叢との相関をみます。もちろん腸内細菌叢に影響を与える要因(年齢、性別、食生活)なども考慮されています。こうすることで腸内細菌叢を調べることで間接的にコロナウィルス感染時に重症化するかどうかを予測するというわけです。それでは結果を紹介します。リスクスコアの信頼性なのですがこのスコアが10%増加すると57%より高いリスクで重症化するという計算結果になったそうです。

つまりそれだけ今回設定されたリスクスコアの感度が重症化する可能性を測るのに高かったというわけです。非感染者990人において例の20種類の血中タンパク質と4つのサイトカインとの相関を調べると二つのサイトカインとの相関が見られました。しかし、対象を58歳以上にすると4つのサイトカイン全てがリスクスコアと相関を示し、58歳以下に制限した場合はサイトカインとリスクスコアの相関は一つも見られませんでした。つまり高齢者に限って炎症の度合いと重症化のリスクが相関し、「若者の場合ではそうではない」ということがわかります。

次に301人の健常者を対象に先に述べた20種類の血中タンパク質と腸内細菌叢の関係を調べました。いくつかの腸内細菌が相関を示すことがわかりました。これらの中で、もっとも相関性が高かった20種の腸内細菌を選抜して、31人の感染者のリスクスコアを予想してみます。すると腸内細菌のデータのみを利用したにも関わらず血中タンパク質から計算したリスクスコアと似たような結果が出ることがわかりました。この結果も同様に高齢者を対象に制限するとより高い確率でリスクスコアを予測できたそうです。ここまでの結果を整理すると特定の腸内細菌達が炎症や重症化のリスクに関わっていることがわかります。では実際どういったメカニズムで腸内細菌が影響するのでしょうか。

987人の糞便から腸内細菌叢と糞便内に残された代謝物について調べてみます。すると約45の代謝物が先ほど述べた20種類の腸内細菌のうちの半分と相関があることがわかりました。つまり、重症化に関与していると思われる腸内細菌は糞便内に残された45の代謝物とも相関があったわけです。これらの代謝物にはアミノ酸、脂肪酸、胆汁酸が主でありこれらがコロナウィルス病状悪化に何らかの関係があるのかが懸念されます。今回選別された20種類の腸内細菌は食事要素や生活習慣等との相関性があることもわかっています。例えば性別、教育レベル、体力、拡張期血圧(血圧で下に表示される方です)、血糖、糖尿病の薬、血中コレステロールが相関を示しました。

教育レベルがなぜ相関を示したのかは不明ですが、おそらく富裕層は健康的な食事をしているということでしょうか。まとめますと健康な非感染者でも腸内細菌叢を見れば重症化に関連した血中タンパク質との相関を予想でき、これによりコロナウィルスに感染して重症化するかどうか予測できそうだということです。ちなみに腸内細菌叢を調べるのは簡単なのですが、血中タンパク質の種類や量を特定するのは容易ではありません。

そういった意味でも今回の結果は意味があります。もともと腸内細菌叢が崩れると炎症を起こし始めることはわかっていましてこの炎症がコロナウィルス感染時に悪影響を与えるというわけです。それと先に述べた環境的な要因を改善することでも重症化を予防できるということもわかりました。「腸内環境を整えて免疫を高めコロナウィルスを予防しよう!」みたいなキャッチフレーズを何度も見てきましたが科学的な根拠がなく、「睡眠をたっぷりとって健康になろう」に近い感じがありました。

今回の研究では腸内環境の悪化(悪化というより老化があっています)が炎症を引き起こし血中タンパク質のバランスを変えてしまい、重症化のリスクが高まります。先にいっておくべきでしたが腸内細菌叢は老化に伴い変化し、より炎症を引き起こすタイプのものに変わっていきます。コロナウィルスで重症化するケースが高齢者に多い理由はこのためでありそうです。

今回の研究から高齢者の腸内細菌叢を調べることで重度化のリスクのある人を前もって予測できるし、血中タンパク質の情報から治療薬の開発へと繋がると報告しています。コロナウィルスの大感染が2019年の12月から始まり、もう半年となりますが、早く静まってほしいものです。

 


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