新型コロナウイルスで病院やクリニックはどう変わったか

内科勤務医著

新型コロナウイルス(以下新型コロナ)の勢いが止まりません。とうとう一部の地域には緊急事態宣言が発令されました。実はその1週間ほど前から日本医師会は「医療はすでに危機的状況だ」と早く緊急事態宣言の発令を要望していました。実際に緊急事態宣言が出された際には、緊急事態宣言の目的の1つは医療崩壊の回避であると明言されています。

では、実際の医療現場は今どうなっているのでしょうか?

すでにマスコミなどでも現場で働く医療者のインタビューなどが放映されていますが、医療現場は大混乱しています。その理由は大きく3つにあると考えられます。

1つ目はマスクや消毒液、防護服などの感染予防物資の不足です。今でもドラッグストアなどでもマスクは入手できない状況が続いていますが、それは病院でも同じです。医療機関は通常、定期的に業者を通じてマスクや手袋などの物資を購入していますが、その業者ですらマスクが入手できなくなっているのです。その背景として、日本の使い捨てマスクの多くは中国などの海外で作られていた、ということがあります。今回の新型コロナウイルスは中国で発生し、中国国内にひろがりました。そのため中国政府は本来日本に輸出する予定であったマスクを中国国内に回したという情報もあります。そのため日本に輸入されるマスクは一気に減りました。さらに日本国内では普段マスクを使用していない人も新型コロナウイルス感染を予防するためにマスクを使うようになり、マスク不足は続いているのです。

これまでも医療機関では患者の体液が飛ぶ可能性のある処置などを行った際に使用したマスクはその処置が終わるごとに廃棄していました。例えば人工呼吸器を装着した患者は約2時間ごと(病気によってはもっと頻回に)痰を吸引する処置を行います。そのような処置の場合には1回ごとにマスクを廃棄するので、1人の患者に12枚のマスクが必要ということになります。ところがマスク不足が現実味を帯びてくると、やむを得ず医療機関は医療従事者にマスクの節約を指示しました。最初はマスクは1日1枚まで、それが1枚のマスクを3日は使ってください、なんとか1週間使って下さい、という医療機関まで現れたのです。

もちろん医療従事者は反対しましたが、かといって無いものは無いのでやむを得ずできるだけマスクを長持ちさせるように工夫して使用しています。でも、1枚のマスクで大勢の患者に接し、さらには数日過ごすことは、患者さんに何か病気をうつしてしまうかもしれない、もしかしたらそのマスクを使うことで自分にも病気がうつってしまうかもしない、というストレスを抱えたまま仕事をしているのです。

医療現場が混乱している2つ目の理由は、新型コロナ感染の診断の難しさにあります。新型コロナには「この症状があれば新型コロナ」というものがありません。インフルエンザでも最終的には検査をして診断を行っているのですが、ただ多くの場合は経過を聞いたり身体所見をとると、検査をする前に「これはインフルエンザかな?」と予想することができます。ところが、新型コロナの場合には、全く症状がなくても検査をすると新型コロナが陽性にでることがあるのです。現時点では「新型コロナは潜伏期(感染はしているが症状が出る前の期間)でも他人にうつすことがある」と言われていますので、全く無症状であっても新型コロナが陽性であれば自宅待機や外出自粛が必要です。では、病院に全く無症状の人が来て、「私は新型コロナでしょうか?」と聞かれても「違います。」とは言い切れないのです。

この話は、発熱や咳、味覚障害ある人でも同じです。ある有名人が味覚障害で検査を受けたところ、新型コロナが陽性であったと報道されたことで、味覚症状も新型コロナの症状の1つであることが世間に認知されたと思いますが、味覚障害も新型コロナに限った症状ではありません。

そして、現場が混乱している3つ目の理由は新型コロナの診断を難しくしている理由とも重なるのですが、新型コロナの検査は医療機関内でできない、という点にあります。病院やクリニックでは通常、医師が必要と判断すれば検査ができます。ところが新型コロナは現状医師が必要だと思っても、保健所が必要の認めなければ検査をすることができません。おそらくは1日に検査できる件数が限られているからだと思いますが、医師の判断だけでは検査ができないのです。また、現時点ではインフルエンザのようにその場で5分で診断ができるような方法がありません。感染者が増えるに従い濃厚接触者も増え、「私も新型コロナかもしれない」という人も増えているので、検査機関はパンクしているところもあり、検査結果が出るのに何日もかかるところもあるようです。

本人も診察した医師も検査が必要だと思っているのに、保健所の判断で検査ができない、となると残念ながら医師は「新型コロナかもしれないので、できるだけ人と会わないでね」と言うしかありません。しかし、「かもしれない」はもっと厄介なのです。新型コロナと確定診断すれば、保健所から適切な指導をもらい、場合によっては入院して体の調子をみてもらえます。でも、「かもしれない」では基本的に体調管理は自分で行うしかないのです。もちろん確定診断の検査をしていないので、感染者が退院基準として検査してもらう「陰性確認」の検査も受けることができません。

緊急事態宣言で休業補償はどうなるのか、といった議論もなされていますが、「かもしれない」感染者はさらにその扱いがあいまいです。陽性ではないので、金銭的補償も受けられない可能性があります。陰性確認もしてもらえないので、最長の2週間、自主的に自宅にこもっていただくのが理想ですが、お金より命が大事とはいえ、お金も大事なのです。

さて、こんな状況で実際の医療機関ではどのような変化があったかというと、普段から非常事態に備えをしていた医療機関では、何とかマスクや消毒液をまだ職員に配ることができていますが、この先の仕入れの見通しが立たないので、節約するように言われています。すでにマスクや消毒液が底をついてきた医療機関では「マスクや消毒液は使ってね。でも自分で準備してね」という無理難題を言っているところもあります。ガーゼで自作したマスクを毎日石鹸で手洗いして使っている医療者もいます。(コロナウイルスはアルコール消毒以外に石鹸も有効です。)

本来新型コロナは感染が疑われる患者とそのほかの患者が待合室や診察室で出会わないようになっている「感染症指定医療機関」で診察や検査をするのが理想です。しかし、患者自身も自分がいわゆるただの風邪なのか、新型コロナなのかわからない場合が多いので、最初は小さな町医者でみてもらうことも多いでしょう。しかし、あとからその人が新型コロナ陽性者だとわかると、町医者は待合室や診察室の消毒を行い、職員に感染していないか経過観察をし、濃厚接触者は自宅待機させて、場合によっては一定期間診察を中止しなければなりません。定期的に通院している患者さんにも急な休診で迷惑をかけるので、中には「今は発熱がある人は診察しません。」と明言している医療機関もあります。特に今の時期は花粉症や風邪、インフルエンザの患者も多いのですが、新型コレラと区別しづらい、そのような患者さんも診察しない、ということになります。もうすでにこのような状態が医療崩壊だと私は思うのですが。

日々ニュースでは感染者数が増えている、といった報道がなされていますが、同様に○○病院の職員に感染者が出たため、病院を一時閉鎖した、というニュースも聞かれるようになっています。患者数は増え、新型コロナを診ることができる病院が減る、という状況がもうすでに起きているのです。

結論はいつも一緒で申し訳ないのですが、各自出来る限りの予防策を行うことが重要です。今となっては全く無症状の人でもウイルスを持っているかもしれない、と思って接しなければなりません。

ある医師は新型コロナに感染しましたが、この医師は自宅でも家族と2m以上近づかないように気をつけていたため、同居している家族は濃厚接触者になりませんでした。私も自宅のドアノブやスイッチなどは病院並みに消毒をし、自宅内でもマスクをして、家族それぞれが食事の時間を分けています。感染を完全に防ぐ方法はありませんが、万一家族に感染者が出ても、家族が濃厚接触者にならないように工夫をしています。

特にテレビなどを見ていて気になるのはマスクから鼻が出ている人、そしてずれたマスクの表面を手で触って直している人です。ウイルスの入り口は口・鼻・目がほとんどなので、マスクはきちんと鼻まで覆い、手で顔を触れる前には手をアルコール消毒するか、石鹸で洗ってから触るようにしましょう。

参考サイト

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/61364.pdf
https://www.hospital.arao.kumamoto.jp/oshirase/1038.html
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200325-OYT1T50243/

 

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