お口の管理と腸内細菌

海野竜也 工学博士

コロナウィルスの予防として食生活を正して腸内環境を改善しようというブログをよく見るこの頃です。そういったブログを見ていると腸内細菌の力を過剰評価しすぎて「今日はヨーグルト食べたから感染しないだろう」みたいな人が出てこないか心配になります。「食生活を正すことで腸内環境を整え、免疫を強化する」といのは間違いではないですし、むしろ肯定しますがこれは習慣の問題でして昨日今日食事を変えたから免疫強化っていうわけではありません。変なサプリとかの広告に釣られないことを願います。

ちなみにコロナウィルスはノロウィルスと違って腸に感染するウィルスではなく肺に感染するので腸内細菌による免疫の強化は「よく眠った日は体調が良い」程度の免疫強化ですので腸内環境に自信がある方でもコロナ対策には手を抜かないようにしましょう。
さて、食生活に気をとられすぎてお口の管理を怠ってはいないでしょうか。

石器時代に遡りますが人類には歯を磨くという習慣はありませんでした。しかし、現代の私たちは毎日、歯を習慣的に磨きます。その理由はご存知の通り、私たちの食べ物には「糖質」が含まれているためです。砂糖の話ではなく糖質です。農耕が始まりお米を食べるようになるとそれまで肉や木の実を食べていた生活から急に糖質の割合が増えます。虫歯は細菌が糖質を分解するときに歯を溶かす酸性物質を分泌することで起こります。口の中には700種に渡る200億もの口腔細菌が住んでいまして唾液を通して私たちの体の中に入ってきます。

ちなみに私たちが1日に飲み込む唾液の量は0.75〜1.5リットルです。口腔細菌の大半は胃酸で死んでしまうのですが大量の食べ物と同時に取り込まれた場合、食べ物を防護壁として胃酸を掻い潜り抜けて大腸に到達します。ある報告によると約45%の人の腸内に口腔細菌が発見されています。多かれ少なかれ口腔細菌が腸に到達すると言うことが一般的であることがわかります。

でも実は健康な人の腸には口腔細菌がほとんどいなく炎症性腸疾患、HIV、大腸癌、逆流性食道炎、アルコール依存症、肝硬変などがあると腸内の口腔細菌数が増えることがわかっています。
口腔細菌にも細菌叢があるのですがお口の病気(虫歯や歯周病)になると特定の細菌が増え始めます。虫歯の場合はstreptococcus mutansと言うミュータンス菌が増えます。この菌が歯の表面にフィルム状に張り付き等を分解しながら歯を溶かすわけです。歯周病の場合は全く別です。歯周病とは歯が原因というよりは歯茎と歯の間にPorphyromonas gingivalisというジンジバリス菌が入り込んで炎症を起こすことが原因です。

ジンジバリス菌は酸に耐性があるため胃酸を通過します。そして、腸内細菌叢に悪影響を与えます。ただでさえ歯周病を引き起こす厄介な細菌なのですが腸内細菌叢を変え腸の代謝に悪影響を与えることが報告されています。例えばマウスにジンジバリス菌を飲ませると腸内でジンジバリス菌自体が増えることはありませんが腸内細菌叢のバランスが崩れて「メタボ」と似たような状態になることがわかっています。

メタボ状態というのは正確にはインスリンの上昇や血中で細菌由来の内毒素が上昇することを言います。血中にジンジバリス菌が直接入り込んだわけではなく他の細菌が入り込むことが遺伝子分析の結果から予想されています。ではなぜ血液中に細菌が入り込んでしまうのでしょうか?ジンジバリス菌が腸内に侵入すると腸内細菌叢が変化し、腸細胞の隙間(タイトジャンクション)が緩みます。

するとランダムに他の細菌が血液に張り込んでしまうのです。タイトジャンクションが腸内細菌叢によって調節されていることは既に報告されているのですがジンジバリスが腸に侵入することでタイトジャンクションが緩むと言うことは意外でした。
以前に非アルコール性の脂肪肝は果糖を腸内細菌が分解したときに酢酸が原因であることをお話ししましたが、歯周病に関連する口腔細菌の増加も関わっていることがわかりました。

ジンジバリスとは別のAggregatibacter actinomycetemcomitansと呼ばれる歯周病菌をマウスに与えたところインスリンの機能が弱まることがわかりました。さらに食生活の乱れたマウスにこの菌を与えると肝臓に付着した脂肪の量が増えました。ジンジバリスの投与でも同じことが報告されています。興味深いことに関節リウマチの患者は口腔細菌叢と腸内細菌叢が健常者と違っていると言う報告もあります。ある仮説によると腸内細菌のバランスが崩れることで起こる慢性的な炎症が関節リウマチを引き起こすと言われています。

つまり、口腔細菌が腸内細菌叢のバランスを見出すことが関節リウマチの原因となっている可能性があると言うことです。
胃酸でとこされた歯周病菌の死骸ですら病原菌の成長を促すと言う報告も出ています。例えば歯周病菌のうちの一つのPrevotella intermediaはジンジバリスの死骸を与えると他の細菌の死骸を与えたときより成長速度が速まることがわかっています。

またジンジバリスも同じで死んだintermediaを与えると病原性が高まるそうです。また、ジンジバリス自体が細胞のサイクルを変えることで癌の原因になる可能性も報告されています。ある研究報告では一個人の口腔細菌叢と腸内細菌叢がどれだけオーバーラップしているかで大腸癌になる可能性を予測できると言う報告も出ています。逆に歯周病の治療後に腸内細菌叢が改善したと言う報告も出ています。つまり口の中の細菌が腸内細菌叢に影響を与えて健康が損なわれると言うシナリオが成立するわけです。

どうでしょうか、食べ物やサプリだけが腸内環境改善のために必要だと強調される中、実はお口の管理も重要であることがわかって頂けたらと思います。ある書籍によると歯茎の出血時に既に細菌が血流に入り込んでいるから歯周病が全身に悪影響を与えると言う説もあります。しかし、今回紹介した研究のほとんどは歯周病菌を飲んだ場合に起こった結果ですので腸内細菌との関係が示唆されます。お口の管理、特に歯周病には気をつけましょう。

 

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